
専門家の警告する「炭水化物抜き」の危険性
結果にコミットする事で有名なダイエットジムをはじめ「即効性がある」とブームが続く糖質制限ダイエットですが、炭水化物抜きダイエットの提唱者であり、医学部を卒業したノンフィクション作家である桐山秀樹さん急死によってその危険性が明るみになりました。
まずは知っておきたい糖質制限ダイエットの基礎理論
メディアでも頻繁に取り上げられる糖質制限ダイエットですが、やり方はシンプルで、ご飯やパン、芋、果物などの炭水化物に含まれる糖質の摂取量を一日130g以下に抑えるというものです。
炭水化物を極力減らせば、おかずはなんでも、好きなだけ食べていい。
こうした食事は糖尿病や重度の肥満患者に対する食事療法として考案されたものですが、「手軽に痩せられるダイエット法」として、老若男女を問わず人気を集めています。
人気の秘密は、糖質さえ制限していれば、あとは肉でもアルコールでも摂取OKという取り組みやすさと、目に見えて現れる効果です。
炭水化物の糖分は体内で中性脂肪に変わり、人間のエネルギー源となる。炭水化物を絶つことで中性脂肪を減らして痩せる、いたって単純なメカニズムのダイエット法です。
糖質制限ダイエット 危険性その1 骨粗鬆症
糖質制限ダイエットを継続的に続けている女性や高齢者の方が骨粗鬆症や、圧迫骨折などの症状に悩まされているといいます。成人男性に比べ比較的食のもともと細い方の影響が顕著のようです。
糖質制限ダイエットを続けていると骨密度が極端に減少するという結果となっていますが、糖質を制限した代わりに何を栄養源にしているのでしょうか。それが糖質の摂取量を一日130g以下に抑えることが原因となっています。
「人間には一日170gの糖が必要とされています。そのうちの120~130gは脳で消費され、30gは全身に酸素などを運ぶ赤血球のエネルギー源として消費されます。糖質は、生命を維持するために欠かせない栄養素なのです。
糖質を制限してしまうと、代わりにタンパク質を構成しているアミノ酸を、肝臓が糖に作り変えるというシステムが働き始めます。タンパク質を糖に変えられるなら、肉を食べれば問題ないのではないかと思う方もいるでしょう。しかし、人体の維持に必要なエネルギーをタンパク質や脂質でまかなおうと思ったら、毎日大量の肉を食べなければなりません。
数kgもの肉を毎日食べ続けることは現実的に不可能です。糖エネルギーが不足すると、それを補うために、体は自分の筋肉を分解してアミノ酸に変えていきます。
結果、筋肉量がどんどん減っていってしまうのです」
糖質制限ダイエット 危険性その2 認知症
前述にも書いた「人間には一日170gの糖が必要とされています。そのうちの120~130gは脳で消費され、30gは全身に酸素などを運ぶ赤血球のエネルギー源として消費されます。
このように糖の約80%は「脳」のエネルギーとして消費されます。このエネルギー源を絶ってしまうのは脳にダメージを与えてしまうのは専門家でなくとも分かる事だと思います。
脳の成長過程である未成年と、高齢者の糖質制限ダイエットは特に控えた方がよいでしょう。健康のために始めたダイエットが寝たきり、痴呆症の原因となっては元も子もないですから。
糖質制限ダイエット 危険性その3 血液ドロドロ 心筋梗塞
一般的に、糖質制限ダイエットをするとカロリーを補うために脂質やタンパク質を大量に摂るようになります。すると、血管に悪玉コレステロールが溜まりその結果、血管が傷んだり老化が進んだりして、脳梗塞や心筋梗塞を起こす可能性がどんどん高まっていくんです。
食物繊維の主原料は炭水化物
糖質制限ダイエットのせいで炭水化物が太る原因と誤解されがちですが、腸内環境を良くしたり、ダイエットに効果的な「食物繊維」の多くは炭水化物によって作られています。
炭水化物 | 糖質 | 糖類 | 単糖類 |
ぶどう糖、果糖、ガラクトースなど
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二糖類 | ショ糖(いわゆる砂糖)、乳糖、麦芽糖など | |||
少糖類 | オリゴ糖 | |||
多糖類 | でんぷん、デキストリンなど | |||
糖アルコール | キシリトール、ソルビトール | |||
その他 | アスパルテーム、アセスルファムK、 ステビアなど | |||
食物繊維 | セルロース、ヘミセルロース、 ペクチンなど |
私たちは糖質を単糖類・二糖類を含めて糖質と呼んでいますが、ご飯やパンに含まれる「でんぷん」が唾液や、腸内の酵素によって分解したものが「ブドウ糖」となり、体内に吸収されていきます。
でんぷん質は分解という行程によってブドウ糖に変化するのですが、砂糖であるショ糖はそのまま体内に吸収されます。
糖質制限をするよりもよくかみ、腸内環境を整えることで糖の吸収を自然に抑える
よく噛んで食べると痩せる。といいますが、これは唾液の持つ酵素をたくさん出すことによって分解を早めることからきているんですね。多くの酵素は糖に変質させるよりももっと先のことをしています。
アルコールに代表する酵素の働きはでんぷん質を一度糖に分解して、酵素自身が食べやすいサイズにし、糖を食べます。その排泄物がアルコールになるのですが、体内の酵素も同じような働きを持っており、酵素が糖を食べてしまいます。
これがよく噛むとダイエットになる理由となります。
腸内でも同じことが起こっており、膵臓が酵素をかけて腸内でゆっくりと発酵してきます。これが腐敗となるか、発酵になるかは、腸内フローラとよばれる私たちの体内で共生する腸内菌たちです。
乳酸菌に代表される腸内菌たちは、この環境を整えることが、ダイエットの近道といえるでしょう。